最近、当社へ中古住宅売買時における住宅状況調査の依頼やお問合わせが増えてきました。繰り返しになりますが、住宅状況調査は非破壊検査による目視ができる範囲で行います。天井や床下に点検口がある場合には、そこから見える範囲で行います。また、屋根についても屋根の上に乗らないで、見える範囲で行なうことが基本となっています。それで確認するのは、建物の劣化の進み具合や不具合がどの程度であるかということです。その「劣化」という事象についてご説明します。

住宅における劣化とは

建物は、時間が経過すれば必ず劣化します。時間が経って自然に劣化することを「経年劣化」と呼びます。建物は、さまざまな建材でできています。その素材や環境によって劣化の早さは変わってきます。屋根や壁などの外装仕上げは、雨風や日射から建物の構造や機能の劣化を遅らせるために重要な役割をもちます。人間で言えば、皮膚のような役割ですので一番傷つきやすいです。人間の皮膚であれば自然に治癒されますが、建物の外装の傷、例えばひび(クラック)などは、自然に治るものではありませんので、補修する必要があります。補修しなければその傷は雨風や日射によって大きくなり、やがて建物全体の劣化を招きます。そうならないためにはまず、その傷に早めに気がつくことが重要です。

木材の劣化とは

建物においてクリティカルな劣化は、構造材(木造なら木材)の劣化です。木の劣化とは、木が腐る、あるいは蟻害(シロアリに破壊される)により強度を失うことです。シロアリについては、新築時にシロアリ対策として防蟻処理を行なうことが義務付けられていますが、一般的には初期の防蟻処理の保証期間は5年間です。それ以降は別途メンテナンスが必要になります。

壁の中が腐っていた事例
壁の中が腐っていた事例

腐るとは

では、なぜ木は腐るのでしょうか?例えば、燃える三原則とは、「燃えるもの」「酸素」「燃える温度」があってはじめて燃えます。同じように腐るためには、4つの条件が整わなければ腐りません。その要素とは、「腐るもの」「」「腐る温度」「湿度(水)」の4つです。腐るものは、木でできているからには仕方ありません。菌は、目には見えませんが空気中に多く存在します。温度は人が住むために必要なので一定温度が必要です。そうなると4つのうち防ぐことができるのは、湿気(水)に触れさせないことです。新築時には、雨水が侵入しなかった建物も上記で述べたような外装の劣化や不具合をそのままにしておくと、構造体の「腐る」につながります。

住宅状況調査とは