ツーバイフォー工法の工事の流れ
昨今、中大規模施設の木造化の流れに伴い、ツーバイフォー工法(2×4工法)のニーズも増えてきたように思います。
同じ木造の建築でも在来型の軸組工法とツーバイフォー工法とでは、材料の規格も異なりますが、工事の手順も異なります。今回は、今弊社で工事中のツーバイフォー工法の工事現場から、その工事の流れをご紹介したいと思います。
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ツーバイフォー工法の何が良いのか
軸組工法とツーバイフォー工法では、それぞれに良さがあると思います。木造建築は、世界では既に18階建ての木造建築もありますように木造建築の高層化が進んでいます。そして、そのように特別に高い建築でなくても6階建てくらいまでであれば、ツーバイフォー工法でも建てることができるようになりました。
(注意:日本では、まだ6階建てのツーバイフォー工法は一般的ではないです。)
なぜ、中高層に向いているかと言いますと、ツーバイフォー工法は軸組工法に比べて、耐震性、耐火性、断熱性、遮音性などの性能を高くしやすいつくりであるからではないかと私は思います。
ツーバイフォー工法の特徴についてはこちら→ツーバイフォー工法
工事の流れ
まず、基礎工事ですが、これは軸組の場合とそれほど違いはありません。しかし、通常の住宅基礎よりも立ち上がりが高くなるなど、鋼製の型枠ではなく、コンパネ型枠でないと対応できないかもしれません。規模が大きいと、鋼製型枠の数量が確保しにくいという理由もあります。
脱型した様子も木造軸組み工法とあまり変わりません。
その基礎の立ち上がりに予め固定されたアンカーに土台を固定していきます。これも軸組工法のときと基本的には同じです。それと同時に、床を張る前に給水給湯の配管などは行っておきます。
次に床下の断熱材を入れていきます。この現場もそうでしたが、工事中に雨が降る場合があります。基礎断熱にするとこの湿気を室内に閉じ込めてしまう恐れがありますが、床下断熱なら床下が換気できるので、私はある程度の規模がある場合には、床下断熱のほうが安心ではないかと思います。
断熱材を張り終えたところから、床の構造用合板を敷いていきます。ネダレスの場合は、24mm厚が一般的です。
床の構造用合板を敷き終わったら、壁を組み立てていきます。この時、現場の敷地の広さに余裕があれば、事前に工場で大型パネルにしておいて、それをラフタークレーンで吊って、建てていくと工期が短縮できます。工期が短縮できれば、工事費も安くなる傾向があります。
これで1階の壁ができました。まるで迷路のようですね。
1階の壁ができたら、1階の天井を組み、2階の床を敷いていきます。
お気づきかもしれませんが、こうして1層ずつ組み立てていくことが、ツーバイフォー工法の手順の特徴です。
また、ここで施工のポイントがあります。軸組工法の場合には、建物の重さが柱の鉛直荷重としてかかるので、そうでもないのですが、ツーバイフォー工法の場合には、建物全体の荷重によって沈み込み現象が起きます。
6階建ての場合で60mm程度の沈み込みがおきます。なので、後から沈んで建物全体に歪みが生じないように、予め階ごとに床全体になるべく均等に荷重をかけておきます。この荷重は、この建物に使用する石膏ボードの束を間配りすることによって、予め建物全体にかける鉛直荷重とします。こうすることで、後から生じる沈み込みを軽減できます。
最上階の小屋組みをして、
屋根のルーフィングを張って、屋根仕上材を葺いていくのは、軸組工法と同じです。しかし、この屋根のルーフィングまでの期間に時間がかかるのは、ツーバイフォー工法のデメリットであり、注意するポイントです。
いかがでしたでしょうか。
ご覧いただいたようにツーバイフォー工法と軸組工法では、工事の手順が違ってきます。
また、3階建てくらいまでの低層の建物であれば、鉄筋コンクリート造や鉄骨造に代わる木造建築としてコストメリットのあるツーバイフォー工法は有効だと思います。
ご興味あれば、お気軽にご相談ください。