地域課題から考えるスーパーシティ構想シンポジウム報告
日本は今、人口減少や少子高齢化などを始めとした地域課題の解決の必要性が高まっていることはいうまでもありません。平成26年から始まった地方創生により、各地では様々な取り組みが繰り広げられています。最近では、地方創生に資する地方公共団体におけるSDGsの達成に向けた取り組みも始まり、それぞれに独自性あるプロジェクトも始動しています。また、第四次産業革命を先行的に体現し、最先端技術を活用した革新的な暮らしやすさを実現する最先端都市「スーパーシティ構想」は今後どの様に実現していくのか。そのようなシンポジウムに参加してきました。
片山さつき大臣の話では、日本が遅れてしまったのは、踏み出す勇気と政治的なプロセスが足りなかったからだと説明していました。日本がこれから取り組んでも今更もう遅いという人もいる。これから勝負しても勝てませんと。しかし、やはり取り組むべきだと。その話を聞くまでは、日本の政治は日本の地方創生についてどの様に考えているか疑問でしたが、このスーパーシティ構想は、これからの日本の地方を考える上で欠かせないように思います。なぜ、ドバイやシンガポール、深センなどがこれほどまで早いのか。やはり技術を構想だけに終わらせないで実際に実装することによって加速してきたのだろうと思います。
スーパーシティ構想
世界を見ると、AIやビッグデータを活用し、社会のあり方を根本から変えるような最先端都市が急速に進展しています。それらの都市は、成熟した東京よりももっと進んでいます。 たとえば、中国の杭州市はアリババと組んで、AIで道路のライブカメラの映像を分析し、信号機のコントロールや警察への通報を自動で行えるようにして、交通渋滞を緩和しました。 また、カナダのトロントはグーグルなどと組んで、再開発されるウォーターフロント地区において、ゴミの自動収集など様々な行政分野でデータを活用した取り組みを進めようとしています。ドバイやシンガポールでも同様の取り組みが進んでいます。 こうした動きを背景に、日本でも国家戦略特区制度を活用し、第四次産業革命を体現する世界最先端都市を先行的に実装する「スーパーシティ構想」ができました。
「スーパーシティ」と聞くと、ハイテクな暮らしになってしまってこれから増える高齢者がかえって暮らしにくくなるのではないかというイメージがあるかもしれません。しかし実際には、2030年には、高齢者の人口が3人に1人となってしまう日本で、どの様に暮らしの課題を解決していくのか。それがスーパーシティの目指す未来像です。
内閣府資料より
未来像の構成要素(10分野)
- 移動:自動走行、データ活用による交通量管理
- 駐車管理など •物流:自動配送、ドローン配達など
- 支払い:キャッシュレスなど
- 行政:ワンスオンリーなど
- 医療・介護:AI ホスピタル、データ活用、オンライン(遠隔)診療・医薬品配達など
- 教育:AI 活用、遠隔教育など
- エネルギー・水:データ活用によるスマートシステムなど
- 環境・ゴミ:データ活用によるスマートシステムなど
- 防災:緊急時の自立エネルギー供給、防災システムなど
- 防犯・安全:ロボット監視など
内閣府は、2030年頃に実現される最先端都市「スーパーシティ」構想に実現に向けて、2019年夏以降に公募で選定した複数の自治体で実証を開始する予定です。