ディープウェル工法の使い方

ディープウェル工法って何?

まずは、ディープウェル工法って何ってことだ思いますが、例えば海や川が近い場所などで地面を掘削する工事時に水位の高いと掘っても掘ってもじゃんじゃん水が湧いてきて工事どころではなくなってしまうのですよ。

じわじわ上がってくる水であれば、掘削した穴に釜場(掘削穴よりさらに深い場所)をつくってあげて、そこからポンプで水を吸い上げればよいのですが、深くて広い穴、つまり地下の工事をする場合などには、その敷地のエリア全体の水位を下げないと釜場からの揚水だけでは対応しきれない場合があります。

例えば、上の図のように7~8mくらいの深さを掘りたいときに、山留め工事として掘りたいエリアの周囲をシートパイルで囲いますが、その敷地の被圧水位が高い場合には、周囲との水位の高さの差の分圧力がかかり、掘削したそこから水が上がってこようとします。このぶくぶくと水が上がってくる現象をボイリングと言います。

また、掘削底全体が上がってくる盤ぶくれという現象にもつながる可能性もあります。

先にボーリング試験を行った結果、被圧水位が高そうでしたら、まず試掘してみると良いでしょう。2mくらい掘ったところまでガマ(地下水の吹き上げ)が発生しているのが確認されたら、何らかの対策が必要になるでしょう。

ディープウェル工法の効果

ディープウェルを設置する場所は、後々の工事でじゃまにならない場所でなるべく掘削する場所に近いほうが望ましいです。複数箇所の場合もありますが、工事は仮設工事でありながら費用のかかる工事なので、一箇所で済むならプラス釜場工法を併用すると良いでしょう。

シートパイルの外側に設置する場合には、シートパイルの深さよりも深い位置に設置してください。

そうすることにより、掘削底から地下水が上がってこないだけでなく、シートパイルにかかる土圧もかなり軽減されます。

ディープウェル工法の手順

まず、重機で井戸を掘ります。

もともと水位の高い場所なので、溢れてくる地下水を吸い上げながら掘っていきます。

オールケーシングで、鋼管をつなぎながら掘削孔に打ち込みます。

ストレーナーが目詰まりして、地下水をあげられなくならないように、ストレーナーの周囲には、砂利を充填します。

吸い上げられた地下水の排水先の確認も必要です。排水口に流せるかどうか管轄の自治体にご確認ください。このときには、水質検査を行い河川につながる排水溝に流す許可をいただきました。

ただし、地下から吸い上げられた水には、細かな砕砂を含みますので、ノッチタンク(沈殿槽)をつかって、ゴミなどを取り除いてから排水するようにしましょう。

ディープウェル工法の出来上がりです。

あとは、基本的に電源は入れっぱなしにし、常に水位を下げた状態で工事を進めてください。

なお、地下の工事中に何らかの原因により停電となると、地下水位が上がってきて大変危険です。そのようにならないためにも非常用の電源も用意したほうがいいでしょう。

また、毎日工事前には水位を計測できるように、細い水位計測井戸をディープウェルの対岸側に設置しておくと安全が確認できます。

デメリット

何日も地下水を吸い上げ続けるので、周囲何十メートルの範囲で地盤が下がります。これは経験からです。必ず、工事前に周囲のレベルの確認をしておくことをおすすめします。

いかがでしたでしょうか。水位の高い敷地での地下の工事の難しさは、このようなところにあります。だから、地下の工事は費用がかかってしまうのですね。

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