制震装置で安心な住まい
Table of Contents
耐震について
家や建築にとって耐震性能はとても重要です。耐震性能は、建物構造と密接な関係にあります。耐震性能は、建築基準法上の強度(壁の強さやバランス)をクリアしていれば、最低限の構造の強さがあります。
それは、どのくらいの強さかと言えば、まれに起きる地震(震度5強程度)でほとんど損傷しない程度であること。また、もっと稀に起きる震度6強以上の地震で倒壊や崩壊しない強さであることとされています。
ところが、建築基準法を満たしていれば、全体に倒壊しないということではないのです。2016年に起きた熊本地震のときも新耐震基準の建物が多く倒壊してしまいました。(原因は、震度7の地震が二回来たことや劣化の状況によります)一方で、耐震等級3の建物は、ほとんど倒壊することはありませんでした。ちなみに、耐震等級2は基準法強度の1.25倍、耐震等級3は、基準法強度の1.5倍の強度があります。これらは、壁の強さや床の強さやそれに耐えられる接合部の強度を必要とします。これらの強度で計れる強さを耐震性能といいます。
制震について
では制震とは何でしょうか?制震は、耐震性能とは全く別ものと考えてください。制震は、簡単に言えば地震の揺れを小さくするシステムです。木造の建物は、いくら耐震性能を高めたとしても絶対に揺れないとは限りません。その揺れに耐えられるというだけで揺れるのです。建物が揺れると、棚の上のものが落ちてきたり、固定されていない家具が倒れたり、揺れるだけで気分が悪くなったりすることもあります。
そこで、制振装置(制震ダンパー)を設置することによって、地震時の揺れを小さくして安全で安心な住まいにしようというのが制震です。
熊本地震のとき。一回目の震度7の地震のときには、倒壊しなかった家でも二回目の地震で倒壊してしまった家も多くありました。それは、一回目の地震のときに一度損傷してしまった部分が構造上の弱点となり、二回目の地震に耐えられなかったからです。
一方、制振装置は、揺れを小さくするので、繰り返しの揺れに対しても高い効果を発揮します。
制震ダンパー
それでは、制振装置とは具体的にどのようなものでしょうか?メーカーによってさまざまなタイプが開発されていますが、ここでは3M社製のFRダンパーをご紹介します。
このFRダンパーは、いわゆる摩擦ダンパーです。自転車のブレーキのような原理で揺れを抑えます。また、他のメーカーの制振装置だと家の構造体に何ヶ所も入れなければならない商品もあるのですが、このFRダンパーは、建物の東西方向と南北方向にそれぞれ一か所ずつ設置するだけで、地震時の揺れ幅を70%低減する効果が認められています。それなら、震度6強や震度7というとても大きな地震が起きたとしても建物自体に与えるダメージが少なくて済みます。しかし、現在では、この制震によって耐震性能を低くして良いということにはなっておりません。あくまでも耐震性能とは別であるということです。
制震ダンパー設置の費用
通常の大きさの住宅であれば、合計2か所しか取り付けないので、大工さんの手間も少なくてすみます。(建築面積80㎡を超えると設置箇所が増えます)
その費用は、制震ダンパーの材料と工事費を含めて、一軒あたり30万円程度です。少なくても30年間は居住すると考えれば、一年間あたり1万円。一日あたりに換算すると30円の費用負担で、今後30年間の間に起きると言われている首都圏直下型地震にも備えることができます。
ただし、リフォームで後から設置することは非常に困難なため、新築時に一度ご検討頂くと良いと思います。