建物が人を奪い合う社会
長い日本の歴史の中で今私たちは大きな転換期を迎えています。いや、既に始まっています。
今から10年ほど前に、私たちはその歴史的瞬間を経験しました。
そう。人口が減り始めたのです。
それまでは、右肩上がりが当たり前でありましたが、その勢いと同じ勢いで右肩下がると言われています。
そうした中、たまにニュースで「空き家が問題だ」と言われるようになりました。
具体的には、日本にある約6000万戸の家のうち、現在約820万戸が空き家として存在しています。
人口が減っていく一方で、年間80万戸くらいの住宅が供給されています。
ということは、空き家は今後もどんどん増えていきます。
空き家の何が問題なのか。
空き家は、人がいないので事故や犯罪に繋がりやすいそうです。
例えば、放火されて近所に広がってしまったり、隣の家へ空き巣に入られたり。
その対策として、各行政では予算をつけて取り壊すことも試みていますが、
それが進まないのは、金銭的な理由以外にもハードルがあるからです。
どうやら、所有者の感情的な原因によるところが大きいようです。
今は住んでいないけど、かつて住んでいた人のことを思って壊せなかったり、周りの人の目が気になったり。
では、その空き家をストックとして活用してはどうかという動きもあります。
誰が活用するのか。
最初にも書きましたが、活用する人そのものが減っているのです。
建物が人を奪い合い、それが今後も進んでいきます。
人に選ばれる建物は良いですが、選ばれない建物が増えていきます。
人に選んでもらえるような家を建てたいものです。