鋼矢板(シートパイル)工法という山留め工事

山留め工事

建築工事の仮設工事の中に『山留め工事』という工事があります。建築する建物に地下室がある場合や敷地に高低差がある場合に作業スペースや安全性を確保するために土留めや地下水の浸入を抑えたりすることを目的とします。

この山留め工事は、仮設工事の一種です。仮設工事というと架設足場を架ける工事がよく知られていますが、それ以外にもこのような仮設工事があります。仮設工事というと一般的には建物が完成した後に残らない工事を言います。山留工事も一般的には、建物が完成する前に鋼材を引き抜いて返却します。しかし、山留工事の場合には、山留めした鋼材を引き抜けない場合は「埋め殺し」といって、地中に埋めっぱなしにすることもあります。この場合には、鋼材は返却できずに買取になりますので、その鋼材費分工事費は、高くなると考えてください。

山留め工事には、大きく3種類の方法があります。一つは、鋼矢板工法です。もう一つは、親杭横矢板工法です。他に地中連壁工法というのがあります。

鋼矢板工法(シートパイル)

先に鋼矢板工法を簡単に説明します。俗にシートパイル工法とも呼ばれます。「パイル」というのはのことですが、シート状の杭。つまり厚みのある鉄板を杭のように打ち込んでいきます。シートパイルは、土圧に耐えられる強度を持つためにリブ状になっていますので、打ち込むときには、その内側に建物が入るようにその厚みを考慮しておきます。

シートパイルの搬入
シートパイル搬入

山留めそのような仮設工事は、事前の計画が非常に大切です。仮設とはいえ、安全に行うためには、先に地盤調査をしておいてから、シートパイルの厚みや長さを決めます。地盤調査の結果、地層の中に礫層のような地盤が固い層があるときには、シートパイルを打つ前に重機によって先行して穴を掘削しておきます。

地盤調査で何がわかるの?

長いドリルのような刃先で掘削しますのでそれほど土は出ません。目的は、シートパイルを打つ場所に入りやすくすることです。

アボロンで先行掘削したところにオートパイラーで圧入していきます。ダダダダダ!!!という大きな音を出さないでギューッと圧入できるサイレントパイラーです。

しかし、この機械も万能ではありません。打設センター位置から左右にそれぞれ1.2mくらいのスペースがないと設置できないために狭小地には向いていません。

シートパイルをすべて打ち終わったら掘削していきます。

一次掘削
一次掘削完了

そして切梁を架けまして、さらに深く掘り進んでいきます。

二次掘削

以上が、山留め工事の鋼矢板工法の流れです。こうして、はじめて地下室を作る工事ができます。この山留め工事という仮設工事は、これくらいの規模ですと1,000万円以上かかります。ですので、地下室がある建築工事は工事費が高くなるのですね。

ちなみにシートパイルは、止水する役割を兼ねていますが、周囲の水位が高いと水が出るだけでなく水圧が高くなり危険です。ディープウェル工法などの揚水を同時に行い、周囲の水位を下げながら掘削しましょう。

少し、長くなってしまいましたので、土留め工事の親杭横矢板工法については、また次回ご紹介します。

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次回、「親杭横矢板工法」の手順についてご紹介。

親杭横矢板工法

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