清里フォトアートミュージアムを訪ねて

先日、建築家の栗生明氏が設計した清里フォトアートミュージアムを見学しました。
この建築は、1998年に竣工していますので、私が学生の頃の最先端の建築であったと思います。
清里の山奥に立地し、カーナビにも出てこないような山道を奥へ奥へと進むと姿を現します。

竣工時は宿泊施設を持った美術館でしたが、20年経った今は宿泊施設は、利用されていないようです。
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建物のファサードからは、多くの造形言語を読む取ることができます。正方形のグリッドだったり、スリットのリピートであったり。最近は、このような建築は日本では新築されなくなってきましたから、今にして振り返ると思想を造形言語で表象する建築は、当時の流行りであったのだと思います。
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駐車場の奥に鉄筋コンクリートの打放しでできた列柱の庭が見えますが、動線はすぐにここに上がれなくなていて、わざと遠回りさせるアプローチになっています。そうすることで映画の場面転換のような空間のシークエンスを演出しています。
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駐車場奥のこの入口へ入り、階段を昇って、この列柱の外側のアプローチを進みます。
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コンクリートの柱は、四角いのでこの時点でこの柱の右側の庭は見えてきません。
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突き当りを右に向くとこのような場面。更に振り返ると、、、
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列柱の庭が見えます。
ここで一度平面図を確認してみましょう。すると、このようになっています。
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軸線を中心にシンメトリックな配置をしていますね。これは、古代建築の頃からよくある配置手法です。
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建物内に入るとその軸線は、ガラス天井のアトリウムになっています。
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エントランスホールには、藤江和子さんデザインの巨大な家具があります。
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エントランスホールの奥は、ガラスになっていて自然の緑が見える落ち着いた空間になっています。

P1110145そのガラスの扉から外に出ると自然に囲まれた中庭になっています。その奥の高いコンクリートの壁に大きく開けられたスリットの先にもう一つの空間があることが分かります。

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そしてこの巨大な壁の開口をくぐると

P1110150屋外劇場のような中庭が現れます。竣工から20年。巨大な人工物と自然との調和がジブリアニメの世界のようでした。

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このように、様々な造形言語と空間の切り替えたっぷりの教科書のような建築を楽しむことができました。個人的には、このような造形主義の建築は好きですが、今後、日本でこのような建築が新しくできるようなことは、まずないだろうと思いますね。

(以上は、あくまで私の主観であり、設計者の意図とは必ずしも同じとは限りません)